歴史ある街に誕生した
2つの文化交流拠点で新しい風を感じる
古くから寺町として栄え、地元の方たちの交流が盛んな池上。
先人を敬い協力し合いながら発展を遂げてきたこの街で、次代を見据えた新たな動きが活発です。
ここでは人と時をつなぐ、2つの交流拠点の取り組みをチェック!
2020年9月より本格始動した「ノミガワスタジオ」は、池上本門寺からほど近い呑川沿いのビルに構えるギャラリー&イベントスペース。「場・モノ・コトづくり」デザインを手がける「スタジオテラ」「堤方4306(つつみかたヨンサンマルロク)」、2つの会社が共同運営しています。
そして、毎週金曜・土曜日は、このノミガワスタジオ内に併設されたまちの小さな本屋さん「BOOK STUDIO」が開店する2DAYS!
BOOK STUDIOでは、ノミガワスタジオ内にある大きな本棚の中の棚1つ分(30cm×30cm)を最小単位とし借りた人たちが、“小さな本屋”のオーナーに。ここは、“小さな本屋”が集合して共同で販売・運営を行う、新しいスタイルのお店なのです。
棚には「旅」や「デザイン」「俳句」「絵本」などと、出店者であるオーナーさんたちが、思い思いにセレクトしたさまざまなジャンルの本がずらり。「こんな本があったの!?」と、思わず見入ってしまうような未知なる世界との出会いがあり、本好きならずとも眺めているだけでワクワクする空間です。
ここでは「店番」も、オーナーさんが持ち回りで行うので、本にまつわるよもやま話が直接聞けるのがうれしいところ。店番のオーナーさん企画の展示や販売なども随時行われており、いつ、何度訪れても新鮮な気分が味わえるのも、またいいのです。
BOOK STUDIOは、「池上エリアリノベーションプロジェクト(*)」の一連の動きの中で、構想の下地である「ブックマンション」の発案者(中西功氏、中西健氏)を、ノミガワスタジオに引き合わせたことでマッチングが実現しスタートに至りました。
取材で訪ねた日は、「雨水」にまつわる本を中心に扱う「フラヌカ」さんが店番を担当。フラヌカさんはこの日、水の循環についてゲーム形式で学べる教材「雨つぶぐるぐるすごろく」(墨田区・NPO法人雨水市民の会制作)を、子どもたちに楽しんでもらおうと企画。一緒に参加した大人たちもいつしかその世界観に引き込まれ白熱していく様子が印象的でした。
ちなみに、翌日の店番は、3Dプリンターやレーザーカッターなどデジタル機器を備えたコワーキングスペースを運営する「おおたfab」さん。ユニークな立体造形作品の展示・販売も行い、デジタル機材で暮らしに身近なものを気軽に作れることなどを紹介。こうしたオーナーさんの多様性によって展開される振り幅の広さは、このお店の大きな魅力です。
店番さんとお客さん、はたまたお客さん同士、オーナーさん同士の交流も生まれ、互いの価値観を尊重・共有しながらゆるやかなつながりを育むBOOK STUDIO。人の輪が広がる拠点として、今後、ますます見逃せないスポットです。
金曜・土曜日はカフェ営業もしているので、本を眺めながらコーヒーを飲むもよし。息抜きにも気分転換にもぴったりの空間に、ふらりと訪れてみませんか。