歴史ある街に誕生した
2つの文化交流拠点で新しい風を感じる
古くから寺町として栄え、地元の方たちの交流が盛んな池上。
先人を敬い協力し合いながら発展を遂げてきたこの街で、次代を見据えた新たな動きが活発です。
ここでは人と時をつなぐ、2つの交流拠点の取り組みをチェック!
池上駅からは徒歩3分ほど、呑川沿いのBOOK STUDIOからは徒歩5分ほどの、池上本門寺旧参道入口に「SANDO BY WEMON PROJECTS(以下、SANDO)」はあります。
池上エリアリノベーションプロジェクト(*)の推進拠点として、2019年5月に誕生したカフェ兼イベントスペースです。
木を基調とした、温かみのある内装デザイン・施工を手がけたのは、このお店の運営も行うアーティストユニット「L PACK.」(小田桐奨さん・中嶋哲矢さん)と、建築家の敷浪一哉さん。
人気席は、池上旧駅舎のシンボルとして長く親しまれた木造ベンチをリデザインした「えきもくベンチ」だとか。
ところで、このお店の名は「SANDO」と書いて「さんど」と読みます。その心は、
①740年以上の歴史を有する、池上本門寺の旧参道入口にあること、
②もともと、ここには長きにわたり愛されたパン屋さんがあったこと(→「サンドイッチ」にかけて)、
③二度、三度と訪れたくなるような場所を目指したこと、にあるといいます。
「名は体を表す」というけれど、SANDOには地元の方をはじめ、各地からたびたび訪れるファンも少なくありません。
今日も明日も明後日も、きっとここは、いろんな“誰か”の暮らしの延長線上にあり、それぞれの記憶が刻まれていく場所──そんな“居場所”が当たり前にある街って、なんかいいよねと、感覚的に思える居心地のよさが、SANDOにはあるのでしょう。
1人で訪れるもよし、友人や家族と訪れるのもよし。気さくな店員さんとの何気ないおしゃべりも楽しく、肩の力を抜いて過ごせるまろやかな雰囲気がお店全体に漂っています。
この日、カフェメニューの中から選んだのは、SANDO定番人気の「あんバターレモンクリームサンド」(650円)と、自家焙煎豆のホットコーヒー(500円 ※テイクアウトは350円)。コーヒーは水からゆっくりと時間をかけて抽出し、湯せんで温めて提供されます。熱を加えず時間をかけた分、香り豊かでコク深く、それでいてすっきりした味わい。あんこのやさしい甘みにぴったりです。
SANDOでは、食材のチョイスにもこだわりがあり、地産地消の観点から、近隣の納得できる食材を使用しているといいます。例えば、あんバターレモンクリームサンドのパンは「ブランジェリィコルセ」(蓮沼)を、あんこは「望月製餡所」(千鳥町)を使用。そのほかのメニューでは、「タカラ食品工業株式会社」(仲池上)のソーセージなども。コラボレーションによる新たな味の創造が、結果的に地域振興にもつながっているのです。
ワークショップや展示イベントなども活発に行うSANDO。毎週土曜日には、夜営業の「YORU SANDO」も開催されているので要チェック! 池上をもっと知りたいと思ったら、欠かせない一軒。あなたは、誰と、どんなふうに過ごしてみたいですか?