池上の魅力

春の訪れを味わいに 小旅行気分で都内屈指の梅の名所を散策

ちょっと足をのばして、外に出かけたくなるような陽気の日が増えてきたこの頃。
せっかくなら、都内屈指の梅の名所「池上梅園」で一足先に春の訪れを感じてみませんか。

梅の芳香に誘われ、都会の桃源郷「池上梅園」で過ごす贅沢なひと時

梅の芳香に誘われ、都会の桃源郷「池上梅園」で過ごす贅沢なひと時

池上駅からは徒歩で20分ほど、池上本門寺の西に位置する「池上梅園」は、なだらかな起伏の地形を利用した閑静な庭園。約1ヘクタールの敷地内には、池をのぞむ和室棟や、歴史を感じさせるたたずまいの茶室「聴雨庵(ちょううあん)」「清月庵(せいげつあん)」が配され、都会にいながらにして風情あふれる風景が楽しめる散策スポットです。
2月〜3月上旬は、30種余りの紅梅・白梅が見頃を迎え、例年だと、春の訪れを待ちわびた数万人もの人々が訪れる、都内屈指の梅の名所として知られます。

受付をすませて園内に進めば、丘陵状の斜面に咲き誇るとりどりの梅がお出迎え。まるで錦絵のような圧巻の光景が広がります。

芳香に誘われ、丘陵傾斜の遊歩道を進んでいくと池上の街が一望できる「見晴台」に。ひと休みできるベンチやあずまや、さらに展望台も整備されている。

ここで、池上梅園の成り立ちについて少々ご紹介を。
現在の池上梅園の北半分にあたる土地は、戦前まで、画家の伊東深水(1898-1972)氏が「月白山荘」と呼ばれる自宅兼アトリエを構えていましたが、戦災で焼失。戦後は、築地の料亭経営者の小倉氏が、土地の南半分まで拡張し、別邸として使用していました。その小倉氏の没後、ご遺族の意志により、庭園として残すことを条件に東京都に譲渡。そののち、昭和53(1978)年に大田区に移管され、植林・拡張が進められて現在の姿に整備されました。

茶室「清月庵」

池上梅園は、丘陵状の斜面に咲き誇る絢爛な梅模様も見どころですが、園入り口から右方向に歩を進めると表情が一変し、自然の趣をいかした回遊式庭園の様相を見ることができます。随所に咲く梅の情緒を味わいながらゆったりと散策路をたどれば、閑寂さを帯びた2棟の茶室「清月庵」と「聴雨庵」の姿が。これらは、池上梅園が施設されるときに新たに建てられたものではなく、別の場所から保存も兼ねて移築された文化的価値の高い建物です。

「清月庵」はもともと、伊東深水のアトリエも設計した数寄屋建築の設計家・川尻善治氏が、自宅の一角に離れとして建てて使用していたものです。大正の一時期、川尻家は池上本門寺前にあった自宅で、温室園芸と料理屋を営んでいたといいます。
その後、昭和後期にマンション建設の計画が進んだことから建物の保存運動が起こり、保存に尽力された大田区在住の華道・茶道家の中島恭名氏が離れを買い取り大田区へ寄贈しました。
大田区は、伊東深水・川尻善治両氏とゆかりの深いこの池上梅園に再建して「清月庵」と命名し、平成元(1989)年から茶室として公開しています。

茶室「聴雨庵」

「聴雨庵」はもともと、岸信介内閣(昭和32〈1957〉年発足)の外務大臣を務めた政治家であり、実業家の藤山愛一郎氏(1897-1985)が所有する茶室でしたが、昭和58(1983)年に藤友倶楽部から大田区に寄贈されました。
「聴雨庵」含め、氏の自宅にあった3棟の茶室は、海外からの来賓を招くなど民間外交の成果をあげたところでもあります。また、戦時中の昭和19(1944)年には東條英機内閣打倒の密議が、岡田啓介・米内光政・末次信正らを集めて行われました。
「聴雨庵」の名前の由来は、愛一郎氏の父・藤山雷太翁の号を「雨田」と称したところからとも言われていますが、確証はないとのことです。

池上梅園の水琴窟は、大田区雪谷の民家で発見された昭和10年代初期のものであり、NPO法人「日本水琴窟フォーラム」により発掘調査が行われ、大田区が寄贈を受けて灯篭などとともに移設されたのだとか。

これらの茶室の近くには「水琴窟(すいきんくつ)(*)」もあり、神秘的な音の響きを楽しめます。

さらに奥に歩を進めると、池に面した「和室」棟もあり、エリアごとにさまざまな表情が楽しめまるのが魅力です。

池に面した和室外観と室内の様子。

また、これらの施設は、事前申し込みをすれば、茶会や句会など、少人数での静かな催しもの(茶室は茶会のみ)での利用が可能(※新型コロナウイルス感染拡大防止にともなう施設利用制限等の情報や、用途など、詳細は池上梅園事務所へおたずねください)。
花鳥風月を感じながら、大切な仲間と親交を深めるひと時──都内にいながらも、そんな贅沢な楽しみ方ができそうです。

春を告げるメジロ。梅の蜜を吸う愛らしい姿が見られる。周辺を含め自然豊かな環境から、秋から冬にかけてはツグミなどの冬鳥もやってくる。
淡いピンクの色彩が愛らしい‘八重揚羽’は、3月初旬から見られる品種。
ベンチも設備されているので、腰を下ろしてじっくり鑑賞できるのもうれしい。

50種500本の樹木を誇る池上梅園では、梅以外にも四季折々豊かな表情を見せ、春〜初夏にかけては800株のツツジをはじめ、ボタン、アジサイなども楽しめます。日常の喧騒を離れ、気軽に旅気分を味わえる池上梅園に、あなたもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

800株のツツジの競演も見逃せない。
大田区立 池上梅園
住所:大田区池上2-2-13
電話:03-3753-1658(池上梅園事務所)
営業時間:9:00〜16:30(入園は16:00まで)
休園日:2月・3月を除く毎週月曜日(祝日のときは翌日)、年末年始
入園料:大人(16歳以上65歳未満)100円/小人(6歳以上16歳未満)20円
※6歳未満の方、65歳以上の方、身体障害者手帳などをお持ちの方は無料(確認できる書類をご提示ください)。

施設使用料:

●茶室 清月庵:
(午前)9:00〜12:00 1,400円/(午後)13:00〜16:30 2,200円
●茶室 聴雨庵:
(午前)9:00〜12:00 2,700円/(午後)13:00〜16:30 4,200円
●和室(8畳〈3室〉):
(午前)9:00〜12:00 600円/(午後)13:00〜16:30 840円
※いずれも区外利用者の方の使用料は料金が異なります。ご注意ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止にともなう施設利用制限等の情報や、用途など、詳細は池上梅園事務所へおたずねください。
※大田区公共施設利用システム(うぐいすネット)に事前登録したうえ、インターネットや音声応答電話等で申し込みできます。抽選申し込みは、使用日の属する月の4か月前の15日から月末まで(抽選は、使用日の属する月の3か月前の1日。抽選後に空き施設が出た際には、3か月前の8日以降に申し込みできます)。

うぐいすネット

https://www.yoyaku.city.ota.tokyo.jp/ota-user/mainservlet/UserPublic
※価格は税込
*水琴窟
縁先手水鉢(えんさきちょうずばち)や、茶庭のつくばいで使った水が、地中に埋設された瓶にしたたり落ちると水滴が反響し、かすかな琴の音のように聞こえる。余水の排水装置から発祥し、このような音の響きを楽しむ装置へと発展・改良されたものを現在では「水琴窟」という。
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